徴用工問題で第3国仲裁委員会構成や国際司法裁判所へ付託日韓対応の違いの理由は?

日本の最高裁にあたる韓国大法院が元徴用工への賠償を日本企業に下した判決に対し、先月6月19日に日本政府は第3国仲裁委員会の設置に基づいて協議にあたろうと韓国政府に要請しています。

しかし、韓国の大統領府の高官からは応じない姿勢を示されています。

日本政府としては国際司法裁判所にこの問題を付託することで解決へ向かう方法もありますが、こちらも韓国側の合意なしでは進めることができず、両者の溝は埋まらない一方です。

徴用工問題に対する日本と韓国の対応の違いはどういったものなのでしょうか。

今回は、徴用工問題についてや、第3国仲裁委員会構成や国際司法裁判所やそれに付託する面での日本政府と韓国政府の反応の違いなどについてまとめました。

徴用工問題とは

徴用工問題とは、第二次世界大戦中に日本の統治下にあった朝鮮で日本企業の募集や徴用された労働者及びその遺族が起こした訴訟にまつわる一連の案件です。

元労働者たちは人間扱いされず奴隷のように働かされたとされています。

それについて、韓国にある三菱重工・IHIなどの日本企業を相手に多くの韓国人が訴訟を起こしています。

下級裁判所から上級裁判所まで長く訴訟が続いており、2018年10月30日に韓国大法院は新日本製鉄に対し韓国人4人に対し平均約1000万円の支払いを命じました。

この判決に対し日本政府は「日韓関係の法的基盤を根本から覆すものである」とし、強い反発の意志を示しました。

そして、そこから韓国政府との紛争が起きています。

徴用工問題に対する日本政府の反応

日本政府は「本件は1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している」とし、国際法に照らしてあり得ない毅然として対応する方針です。

また日韓請求権協定には、両国に紛争が起きた時には「仲裁」という手続きがあります。

それを用いて合意を図り、それでも駄目な時には国際司法裁判所への提訴も考えているとしています。

徴用工問題に対する日本政府の反論「日韓請求権協定」

日韓請求権協定とは1965年に結ばれた「日韓基本条約」に付帯する協定です。

その第2条の条文は以下の通りになります。

「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益及び両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものの含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。」

引用元:外務省ホームページ
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/A-S40-293_1.pdf#search=’%E6%97%A5%E9%9F%93%E8%AB%8B%E6%B1%82%E6%A8%A9%E5%8D%94%E5%AE%9A+%E5%85%A8%E6%96%87)

また、この基本条約を結ぶ時に日本は韓国へ賠償金として約5億ドル(約552億円)を支払っており、そのお金は「韓国政府から被害者個人へと払う」としています。

こうして日本と韓国との間に法的な賠償問題は既に消滅したはずなのでした。

徴用工問題に対する韓国政府の反論

しかし上記の通り2018年10月に、韓国大法院は日本企業に対し計4000万円の支払いを命じる事態となっています。

日本政府の抗議に対し、韓国政府は「政府は司法に介入はしない」とし、この問題について介入することを拒んでいます。

しかし、このような裁判結果が認められるのであれば、判例主義をとっている韓国内では当然ながら次から次へと同じような裁判並びに結果が下されることになります。

日本政府が要請する第3国仲裁委員会

日本政府は第3国仲裁委員会を組織し、その内で解決するように韓国政府に対し要請しています。

第3国仲裁委員会は日韓請求権協定第三条で記載されている事項であり、次のようになります。

「2 1の規定により解決することができなかつた紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約国政府が任命する各一人の仲裁委員
と、こうして選定された二人の仲裁委員が当該期間の後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員又は当該期間内にその二人の仲裁委員が合意する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会に決定
のため付託するものとする。
ただし、第三の仲裁委員は、両締約国のうちいずれかの国民であつてはならない。」

注)1の規定とは外交上の経路を通じての解決を指す

引用元:データベース「世界と日本」
(http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/JPKR/19650622.T9J.html)

つまり外交協議で解決できない場合においては、韓国政府が日本政府からの「紛争の仲介を要請する公文」を受け取ってから30日以内に両国から1人ずつ委員を選任します。

そしてまた日韓両国以外の第三国から委員を一人選び、合計3人で仲裁委員会を組織し、紛争について協議しよう、というものです。

日本政府が要請する国際司法裁判所への提訴

そしてまた日本政府は国際司法裁判所に対し提訴することも考えています。

国際司法裁判所はオランダのハーグにある国際司法機関です。

国家間の法律的な紛争に関して裁判を行ったり、国連総会や安保理などの要請に対して勧告的意見を与える機関です。

その判決は当事国のみを法的に拘束するもので、その判決は極めて高い権威を持つとされています。

また判決の履行に対し安保理に訴えることもできる強い力があります。

しかし、裁判を起こすには一般の裁判とは違います。

両国の同時提訴、つまり裁判の同意が必要となります。

これに関しても韓国は拒否しており、結果として解決は見送られたままとなっています。

韓国政府が第3国仲裁委員会や国際司法裁判所を拒否する理由

こうした日本政府の協議の呼びかけに対し、韓国政府は頑なに拒否しています。

その理由は、現在韓国で蔓延する日本からの全ての提案を拒否するという「超強硬な」雰囲気にあると言われています。

韓国政府は日本の直接賠償を求める被害者たちの意向に反するとして、韓国政府による補償も拒否しています。

また韓国政府は、先日日本が行った3品輸出規制に関して日本の非を訴え、そしてまたWTOに提訴することも視野に入れているとしています。

韓国政府の第3国仲裁委員会や国際司法裁判所の拒否に対する反応

ただ、こうした韓国のあくまで仲裁委員会の設置や国際司法裁判所の付託を避ける事態は、日本を始め世界の多くの人にとって「逃げ」と映っているのは事実です。

また、こうした韓国の世界への呼びかけに対し、世界が好意的な反応を示すかどうかについては大いに疑問が残ります。

それらの理由は

◯サミットの直後であることを考えれば、3品規制はアメリカ・中国を始め関連各国に対し事前に打ち合わせを完了し、その上で行った可能性が高い
◯今回の3品規制は国防に関係あるものに対する優先解除にすぎないため、WTOの出る幕がない

などです。

徴用工問題に対する両国の動向に注視

6月19日に日本政府がした第3国仲裁委員会の要請は今月7月18日が締め切りです。

それに対して何らかの合意ある行為や答えがない限り、日本としては韓国に対し規制などの制裁行為に出ざるを得ません。

それらは私達の生活にも影響を及ぼす出来事であり、これからも両国の動向に注視していく必要があるでしょう。

今回は、徴用工問題や、第3国仲裁委員会や国際司法裁判所やそれに対する日本政府と韓国政府の反応の違いなどについてまとめました。

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