諫早湾干拓事業の問題点は?最高裁判所が開門を認めなかった堤防排水門の画像は?

国営諫早湾干拓事業の堤防排水門の閉め切りにより漁業被害を受けたとして長崎・佐賀両県の漁業者が国に開門を求めた訴訟で、26日に最高裁は上告棄却の決定を出したことが話題となっています。

長く続いている諫早湾干拓の今後に対し、一つの指針を与えたかのようにも捉えることができ、今後の流れにさらに注目が集まります。

諫早湾干拓事業はどのような問題点を抱えているのでしょうか。

また、最高裁が開門を認めなかった堤防排水門の画像はどのようなものでしょうか。

今回は、諫早湾開拓事業に関して上告された二つの訴訟が棄却されたニュースや、諫早湾干拓事業の問題点、また最高裁判所が開門を認めなかった堤防排水門の画像についてまとめてみました。

諫早湾干拓事業とは

諫早湾干拓事業は、1952年に当時の長崎県知事である西岡竹次郎知事が発案した「長崎大干拓構想」がきっかけです。

戦後の米不足を補うために、長崎県の有明海に面した諫早湾を干拓して農地を広げたり、農地の冠水被害(塩害)の防止や農業用水の確保が目的とされています。

調整や計画作成などに時間が掛かりましたが、「水害対策」という目的を盛り込んだ上で、1989年に農林水産省が主導で諫早湾干拓事業が開始されました。

その計画面積は3500ヘクタール、事業費は2533億円という超巨大プロジェクトです。

諫早湾干拓事業の干拓とは

干潟とは、1日に2回干出と水没を繰り返す平らな砂泥地のことを指します。

そして干拓とは、干潟や湖沼・浅瀬などを仕切り、その場の水を抜き取らせることで陸地にすることであり、その干拓地は主に農地として使用されます。

その方法は、堤防で水域を区切り、堤防にいくつか水門を作ります。

そして動力などを用いて強制的にその区切り内の水を排水させ、干上がらせることによって干拓地が出来上がります。

諫早湾干拓事業が行われた諫早湾とは

諫早湾は、長崎県の有明海に面した日本最大級の干潟です。

有明海は約1700平方キロメートルの広大な浅い海であり、干潮時には海岸線から約5キロの沖合にまで干潟が露出する地帯となっています

諫早湾干拓事業の堤防排水門などの構造

諫早湾の潮受け堤防の長さは約7キロであり、おおよそ南北に沿って作られています。

水門は二つあり、「北部排水門」と「南部排水門」に分かれています。

潮受け堤防は砂と石積みでできています。

1997年に閉め切られた通称「ギロチン」は水門を指すのではなく堤防工事中の工作物のことを指します。

諫早湾干拓事業の流れ

工事は1989年から開始され、1997年4月に「潮受け堤防」の水門が閉じられ、そしてその10年後の2007年11月20日に完工式が行われています。

それによって

◯堤防の内側の調整池は淡水化され、農業用水として使用可能

◯中央干拓地と小江干拓地が造成

◯潮受け堤防の閉め切りにより水害が無くなる

などの結果に至っています。

諫早湾干拓事業の問題点

こうして農業に関してより一層の充実が図られることになりましたが、ところがここに問題が出てきたのです。

それは有明海を中心に漁業を行っている漁業従事者たちに被害が出てきた、というものです。

諫早湾干拓事業による干潟の消失

実は干潟は、干出と水没を繰り返すを繰り返すことによって海水中に大量の酸素を供給し、バクテリアを活性化することにより、有機物の分解を促進する役割を果たしているのです

干潟は「巨大な浄化槽」と呼称されることもあり、そしてその性質上、多種多様な生物の宝庫でもあるのです。

その干潟が消失ことにより、漁業に関して

◯高級具材である二枚貝タイラギの死滅

◯海苔の製造に関して致命的な品質の低下

などの致命的な損害が生じたのでした。

諫早湾干拓事業の堤防排水門の開閉の対立軸

こうして漁業従事者たちは漁業被害の原因は堤防排水門の閉鎖にあると考え、開門に向けて訴訟などの行動を起こします。

そして漁業従事者たちの開門への活動が活発になっていくのですが、それに対し農業従事者たちが開門阻止に向けて動き出すのです。

そしてそれらを推進する背景にもその対立軸ができていきます。

具体的には

◯農協―漁協

◯官民―市民

◯自民―民主

◯自然保護―現地住人

などであり、その多種多様な対立軸によって、泥沼化している状態なのです。

諫早湾干拓事業の堤防排水門の開門訴訟その1

漁業者たちは2002年に国を相手取って訴訟を起こしています。

それを受けた佐賀地裁では開門を命じる一審判決を出し、それが2010年に2審である福岡高裁でも支持され、当時の民主党政権が上告をせず、開門が確定しています。

ところが、2011年にこの決定に対して農業従事者たちが開門の差し止めを求めて長崎地裁に提訴し、2013年に認められるという事態になっています。

福岡高裁の判決の事実上の無力化であり、これに関して漁業従事者たちは上告をしています。

諫早湾干拓事業の堤防排水門の開門訴訟その2

長崎県小長井町や佐賀県太良町の漁業従事者たちが、2008年に諫早湾の漁業不振は干拓事業が原因として、長崎地裁に開門訴訟を起こしています。

長崎地裁は11年6月に開門請求を棄却します。

それに対し、漁業従事者たちは賠償請求と合わせて福岡高裁に控訴をしますが、開門請求と損害賠償のいずれも退けられ、そして上告に至っています。

諫早湾干拓事業の開門訴訟に対する最高裁の判断

最高裁は諫早湾干拓事業に対し、上記の二つの訴訟に関して議論していましたが、26日付けで、開門を求めていた漁業従事者の訴えを退ける決定をしています。

最高裁による開門の是非の判断は今回の決定が初めてであり、今後の和解などに向けての今後の動きが注目されます。

諫早湾干拓事業に対する最高裁の判断についての反応

この判決を受けて、漁業側は声明を発表しています。

判断について「心からの憤りを禁じ得ない」とし、また今後の和議協議の必要性を語っています。

諫早湾干拓事業の当事者たちの今後の行動に注目

長らく裁判が続いてきており、そして単なる善悪では決して語ることのできない内容ゆえに、泥沼化の様相を呈していた諫早湾開拓事業問題でしたが、今後はやはり最高裁の判断に沿った形で収束していくのでは、と見られています。

とは言え、決してどちらかが勝者ということではなく、双方歩み寄った形で次の歩みを見出せるような形で終わって欲しいところです。

今回は、諫早湾開拓事業に関して上告された二つの訴訟が棄却されたニュースや、諫早湾干拓事業の問題点、また堤防排水門の画像について、まとめました。

最高裁判所関連記事

関連記事

まもなく平成の世が終わりを迎えようとしていますが、今年は天皇陛下が即位されてから30年が経ち、記念式典が東京千代田区の国立劇場で開催されました。 三浦大知の歌声が素晴らしかった 式典に際して、歌手の三浦大知さんが作詞を天皇陛下、作曲を皇[…]

IMG
関連記事

平成が過ぎ、新たな元号「令和」を迎え、新元号の節目に深く関係されたのが天皇陛下とその皇室一族です。 平成を振り返ると、最も気になった皇族のトピックはやはり小室圭さんと秋篠宮家の長女である眞子さまのご婚約、女性宮家に関する報道ではないで[…]

関連記事

ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが出演していた未放送の番組が流出していたことが話題になっています。 番組の流出した内容はロンブー田村淳さんが仮想通貨のレクチャーを受け仮想通貨の魅力を理解するというもの。 この番組は昨年起きたあ[…]

最新情報をチェックしよう!