日韓請求権協定に基づく第三国仲裁委員会について返答は?日本企業の被害予想額は?

18日、元徴用工訴訟問題で日本政府が韓国政府に対し、第三国仲裁委員会の設置を求めた手続きの回答期限を迎えました。

第三国仲裁委員会は日韓請求権協定に基づく紛争解決の手段です。

これを韓国政府が拒否すれば、日本政府はさらに新たなる対抗手段を取るとされています。

果たして韓国政府は答えを出したのでしょうか。

また、日本と韓国の紛争によって生じる日本企業の被害予想額はどれくらいなのでしょうか。

今回は、日本政府が日韓請求権協定に基づいて韓国政府に対して要請した第三国仲裁委員会設置に対する韓国政府返答についてや、日本企業の被害額はどれくらいなのかをまとめました。

日韓請求権協定で解決したはずの徴用工訴訟問題

徴用工訴訟問題とは、戦前・戦中を通して日本の統治下にあった朝鮮で日本企業で働いていた労働者やその遺族が起こした訴訟を巡る案件を指します。

2018年10月30日に、日本の最高裁に当たる韓国大法院がその訴えを認め韓国人4人に対し平均約1000万円の支払いを命じます。

これに対して日本政府は「本件は1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している」とし、韓国政府に対して協定に基づいた判断を求めています。

しかし、韓国政府は三権分立の観点から司法の判断に口出しできないとして、日本政府の要求を拒み続けています。

日韓請求権協定とは

日本政府が法的根拠としているのは、1965年に結ばれた日韓基本条約に付随する協約である「日韓請求権協定」です。

この協定の主要部分は第1条から第3条の3つであり、

◯第1条…日本から韓国に対して経済協力が行われるための手順の規定

◯第2条…日韓両国の間の請求権問題が全て「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」規定

◯第3条…この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争を解決するための手順の規定

となっています。

この協定とともに、日本政府は5億ドルと民間融資3億ドルの経済協力支援を行いました。

そして、日韓両国でこの問題に関する請求問題は全て終わりを迎えたと思われていたのです。

日韓請求権協定による日本政府の協議の要請

日本政府は第3条に基づいて協議を求めています。

第3条は紛争解決のための手段について書かれており、第1項から第3項まであります。

これらの項目は、前項の手段で目的を達せられない時に次の項の手段に移るという優先順位を示したものであり、具体的な内容は

◯第1項…外交上の経路を通じて解決

◯第2項…いずれか一方の政府が他方から「紛争の仲介を要請する公文」を受け取ってから30日以内に、両国1人ずつと第3国から選んだ3人の委員による仲裁委員会で協議する

◯第3項…日韓両国の政府は30日以内に第3国を1か国ずつ選び、その二つの第3国の政府により仲裁委員が1人ずつ指名され、その上でさらに協議によってもう1人仲裁委員が選出され、協議する

となります。

日韓請求権協定による日本政府の協議の要請の流れ

現状での流れは以下の通りです。

◯2018年10月30日…韓国大法院による賠償の判決

◯2019年1月9日……日本は日韓請求権協定第3条第1項による2国間協議を要請

◯2019年5月20日…日本は日韓請求権協定第3条第2項に基づく仲裁委員会の設置を要請

◯2019年6月19日…日本は日韓請求権協定第3条第3項に基づく第三国仲裁委員会の設置を要請

日本政府の第1項と第2項による要請に対し韓国政府は応じないまま、今は最終手段である第3項にまできており7月18日がその回答期限となるのです。

日韓請求権協定による第三国仲裁委員会要請の返答

注目が集まった韓国政府の動向ですが、18日午前に開かれた西村康稔官房副長官の記者会見ではその段階ではまだ返答がないとしています。

「西村康稔官房副長官は18日午前の記者会見で、いわゆる徴用工訴訟をめぐり、日本政府が日韓請求権協定に基づき韓国に求めている仲裁委員会設置の手続きについて、「韓国から仲裁に応じないという回答があったという事実はない」と述べた。

日韓両国は仲裁委設置に向け、18日までに委員を指名する第三国を選定する。西村氏は「韓国政府は協定上定められた期限である18日の深夜までに仲裁に応じる協定上の義務を負っている。日本政府としては仲裁に応じるよう引き続き強く求めていきたい」と語った。」

引用元:産経ニュース(https://www.sankei.com/politics/news/190718/plt1907180011-n1.html)

日本政府は韓国政府に対し呼びかけを期限いっぱいまで続けるとしています。

しかし、16日に韓国大統領府高官から「従来の立場に全く変化はない」として18日の期限までに委員を指名する第三国を選定しない、という発言のニュースもあります。

現状で韓国から返答を得るのは難しいと言えます。

日韓請求権協定による第三国仲裁委員会要請が流れた場合

今回の要請にこのまま韓国政府が応じないとなると、日本政府として取る手段は

◯国際司法裁判所への提訴

◯韓国側の不当性を国際社会に訴えながら、日本企業の資産現金化などの対抗措置に移る

などが行われるのではと予想されています。

国際司法裁判所は、両国が揃って提訴することにより初めて行われる裁判です。

韓国側が応じる可能性は非常に低いと言われています。

しかし司法の場での裁決から逃げたという点は国際社会において失点であり、それだけでも効果があると言われています。

日韓請求権協定が流れた時の日本企業の被害予想額

長らく続いている日韓の対立ですが、それによる日本企業の被害予想額は一体どれくらいなのでしょうか。

2018年の輸出の数字を整理してみますと、

◯日本から韓国への輸出……54,605

◯韓国から日本への輸出……30,529

(単位:百万ドル)

となっています。

日韓の対立によって当然この数字は激減するものであり、それはまた日本企業の被害の額と言えることになります。

またこの数字以外にも、観光として日韓両国を行き来する人口は1千万人を超えいます。

従って、そちらの方でも打撃があることは間違いありません。

日韓請求権協定が流れた時の日本企業の被害額の内容

ただ、日本のGDPはドル建てで約5兆ドルで、韓国に対する貿易黒字はその内の0.5%にすぎないという見方もできます。

また韓国という販売先を失っても日本はそれほど販売相手に困らないという意見も出ています。

この事から、結局はそこまで致命的ではないという意見もあります。

日韓請求権協定に対する日本と韓国の動向に注視

現状では、日本は結ばれた協定通りに手順で着々と自らの正当性を国際社会に示していることは間違いないと言えます。

ただこの対立は韓国国民にとってプライドが関わる根が深いものであるとの意見もあり、すぐに終わるということはあまり期待できるものではありません。

今後も日本政府と韓国政府の動向に注視していく必要があるでしょう。

今回は、日本政府が日韓請求権協定に基づいて韓国政府に対して要請した第三国仲裁委員会設置に対する韓国政府返答についてや、日本企業の被害額はどれくらいなのかをまとめました。

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