日韓請求権協定資料の対日請求要綱で書かれている徴用工補償金支払い方法は?

外務省は徴用工問題について1965年に締結した日韓請求権協定の交渉時に、韓国政府が日本側に対して示した「対日請求要綱」を公表しました。

その資料では元徴用工への補償金の支払い方法などが明記されており、それに沿った形で日韓請求権協定が結ばれたとなっています。

対日請求要綱では、どのように元徴用工へ補償支払いするよう書かれていたのでしょうか。

今回は、外務省が日韓請求権協定を結ぶ際の交渉で韓国が日本に示した「対日請求要綱」を公表したニュースや、対日請求要綱で書かれている元徴用工への補償金支払い方法などその資料の内容についてまとめました。

徴用工問題とは

徴用工問題は、第二次大戦中に日本の統治下にあった朝鮮で日本の企業に徴用された労働者やその遺族が起こした訴訟を巡る問題です。

かつて人間扱いされず、奴隷のように働かされたとして元徴用工や遺族は訴訟を起こしています。

2000年代にその訴訟が各地で開始され、長い年月の末に2018年10月末に韓国大法院(日本の最高裁に相当)から韓国になる日本企業に対し賠償命令が下されています。

それに対し日本政府は1965年に締結された日韓基本条約の中にある日韓請求権協定の中で「完全かつ最終的に解決している」とし強く反発しています。

日本政府が反論の根拠とした日韓請求権協定

日韓請求権協定は、1965年に日本と韓国の間で結ばれた日韓基本条約に付随する協定です。

日韓請求権協定の第2条でこの問題の解決について、

◯第2条…日韓両国における請求権に関する問題は全て「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」

とされています。

当時の日本政府は5億ドルの経済協力支援を行うことによって、この問題については終わりを見せたかのように思われました。

日韓請求権協定に沿わない徴用工訴訟の判決

しかし2018年10月に徴用工訴訟に関して、韓国大法院は賠償の命令を日本企業に対し下しています。

これに関して日本は日韓請求権協定の第2条を根拠に、韓国に対し繰り返し是正を求めています。

しかし韓国側は、三権分立を根拠として裁判所の判決に口を挟めないとして拒否しており、そこから長い紛争が開始されています。

外務省による対日請求要綱と議事録公表

外務省は1965年に締結した日韓請求権協定の交渉時に韓国政府が日本側に示した「対日請求要綱」とその交渉議事録を公表しています。

徴用工への請求問題は協定により既に解決済みであるとする日本政府の主張の証拠の裏付けとなるものであり、元徴用工訴訟問題に関する記者への説明会の会場で配布されています。

日本の徴用工問題への是正要求に対する韓国の反発はますます過熱する一方であり、今後の紛争で日本が有利になるために公表したと考えられています。

対日請求要綱の内容

対日請求要綱は8項目で構成されています。

元徴用工への補償に関して明記されており、

◯被徴用韓人の未収金、補償金及びその他の請求権の弁済を請求する

引用元:産経ニュース(https://www.sankei.com/politics/news/190729/plt1907290032-n1.html)

となっています。

そしてその要綱全てを受け入れることで5億ドルの資金供与と請求権問題について「完全かつ最終的に解決」したとされる請求権協定が結ばれた、としています。

対日請求要綱や議事録で書かれている補償金支払い方法

要綱と併せて交渉議事録も公表されており、その中では、

1961年の交渉で日本側代表が「個人に対して支払って欲しいということか」と尋ねると、韓国側は「国として請求して、国内での支払いは国内措置として必要な範囲でとる」と回答した。

引用元:産経ニュース(https://www.sankei.com/politics/news/190729/plt1907290032-n1.html)

とされています。

つまり、韓国国内で請求に関する問題が持ち上がった時には、韓国政府によって請求に対して補償を行うことが明記されていることになっています。

この議事録は日韓両国で持ち合わせている資料であり、当然韓国政府も持っていることになりそれ以降の国内での補償問題における韓国政府の指針となると言えます。

対日請求要綱を公表したことによる反響

さて今回の資料を配布することによって、韓国政府側はどのような反応を見せるでしょうか。

ネット上では、この公表に対しても韓国政府が取る行動は今までと対して変わらないのでは、という声が多く寄せられています。

◯どんな難癖を付けて来るかが…?

◯韓国はそれでも詭弁を使い、無かったことにするのが目に見えています。

◯まあいくら証拠を見せても、謎の超理論で覆すでしょうけど。

引用元:時事ドットコム(https://www.jiji.com/jc/article?k=2019072901056&g=pol)

対日請求要綱を公表したことによる反響の理由

上記の様なネット上での冷淡な意見は、今までの韓国政府の対応を鑑みれば仕方がないことかもしれません。

日韓請求権協定の第3項では、両国間において問題や紛争が起きた時にそれを解決する手段について明記されています。

第1項…外交上にて解決。

第2項…第3国を交えた仲裁委員会を設立し協議して解決。

第3項…第三国仲裁委員会を設置し協議して解決。

日本はこれらを韓国に対して提案し、協議しようと呼びかけています。

しかし、そのいずれも返答は来ていません。

それは今回の対日請求要綱やその議事録を公表に関しても、恐らく韓国政府が取る行動は変わらないものと思われます。

対日請求要綱を公表した外務省の狙い

ただこういった日本政府の対応は、もはや韓国相手に対して行われているものではないのかもしれません。

では誰に対して行われているのか、と言えば恐らくは世界に向けて発信していると見ることが出来ます。

韓国政府は、日本政府が下すであろう韓国をホワイト国から除外する動きについて様々な反発を見せており、世界各国に対してWTOなどで自国の正当性を訴えています。

その正当性にどれくらい根拠があるのかはもちろん大事ですが、実は世界に対して訴えようという姿勢は非常に大事なことであり、それをするかしないかで印象は随分と変わることがあります。

外務省による今回の公表は韓国に対して正当性を示したのではなく、世界に対して自国の正当性を訴え、そしてやがては国際司法裁判所への提訴も視野に入れているのでは、と推測できます。

日韓請求権協定の資料公表に対する韓国や世界の動向に注目

外務省は韓国との問題に対してフットワークが鈍い方であるというのが世間の評判ですが、ついに外務省も韓国に対してけん制する動きを見せたということになります。

今後も加熱するであろう日韓の紛争を、世界的な流れも含めて冷静な目をもって注視していきたい所です。

今回は、外務省が日韓請求権協定を結ぶ際の交渉で韓国が日本に示した「対日請求要綱」を公表したニュースや、対日請求要綱で書かれている元徴用工への補償金支払い方法などその資料の内容についてまとめました。

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