日本と緊張状態が続く韓国ですが、22日に韓国政府より日本と結んでいる軍事的な協定である「GSOMIA」の破棄が発表されており、世界中が大いに揺れています。
これによって、日米間の3国で連携されていた枠組みから韓国が離脱したと見なされることになり、今後ますます緊張した状態が続くとされています。
この協定破棄の発表にアメリカはどのような反応をしたのでしょうか。
またGSOMIA破棄によって、北朝鮮や中国・ロシアなどとの国と韓国はどのような関係になるのでしょうか。
今回は、韓国離脱に対するアメリカの反応や韓国がGSOMIAを破棄した事で北朝鮮や中国・ロシアなどの国との関係性はどうなるのかについてまとめました。
韓国と結んでいたGSOMIAとは
「GSOMIA」とは、2国間もしくは多国間の中で軍事的な機密情報を提供し合ったり、他国への漏えいを防ぐ為に結ばれる協定です。
正式名称は「軍事情報に関する包括的保全協定」であり「General Security of Military Information Agreement」の頭文字を略したものであり、日本では「ジーソミア」と呼ばれています。
日本は
◯アメリカ
◯NATO
◯フランス
◯オーストラリア
◯イギリス
◯インド
◯イタリア
◯韓国
の8か国とその協定を結んでいました。
韓国で叫ばれていた日本とのGSOMIAの破棄
日本政府が韓国に対する輸出の優遇措置の解除を取って以来、日本と韓国の間には緊張が続いています。
その中で信頼関係に傷がついたとの理由により、GSOMIAの破棄を訴える声は韓国国内で叫ばれていました。
韓国とのGSOMIAは、毎年8月24日までにどちらかから破棄の申し出がない限り自動更新するものであり、その行方について注目が集まっていました。
韓国政府より発表されたGSOMIAの破棄
自動更新の日の2日前に当たる22日、韓国政府はGSOMIAの破棄の決定を発表しています。
これにより日本と韓国のGSOMIAが破棄されることになり、世界中で大きな話題となっています。
「韓国政府は22日、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄することを決めた。
韓国政府は、日本政府による安全保障上の輸出管理の手続きを優遇する対象国「グループA(ホワイト国)」からの除外措置の撤回を求めたが、受け入れられなかったため踏み切った。
一方、日米両政府は北朝鮮への対応などを念頭に協定継続を求めてきた。
これを無視する韓国の対応に、日米両政府は衝撃を受け、北東アジアの安全保障環境の変化に対する懸念を強めている。」
引用元:ヤフーニュース(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190822-00000107-mai-int)
韓国とのGSOMIAの実際の利益
韓国側としてはGSOMIAの破棄を「日本に対する外交カード」として捉えており、このカードを用いることによって優遇措置の解除の撤回を求めるような声明をたびたび出しています。
実のところ、日本側としては韓国からの情報よりもアメリカからの情報を重視しているところがあり、このカードの実効性は強いものであるとは言い切ることは難しい状態です。
ただ、自民党幹部は「米国との情報ラインがしっかりしていれば大きな実害は出ない。日本側が譲歩する必要はない」と強調する。日本が哨戒機や情報収集衛星で集めた情報が韓国にとって役立つことも多く、決定は韓国が自らの首を絞めることにもつながる。
引用元:産経ニュース(https://www.sankei.com/politics/news/190822/plt1908220025-n1.html)
無いよりかはあった方が良いのでしょうが、そもそも韓国とのGSOMIA協定は2016年開始という比較的短い期間でありそれ以前に戻るだけだとの指摘もあります。
韓国に対するアメリカの反応
この韓国政府の発表に日本だけではなく、アメリカもまた驚いています。
アメリカ政府はこの韓国政府の発表に対し異例とも言える「強い失望」の意を表明しており、ポンペイオ国務長官からも失望の旨が明かされています。
「韓国政府が日韓の軍事情報包括保護協定=「GSOMIA」の破棄を決めたと発表したことについて、アメリカ政府は韓国政府に対し、強い懸念と失望を表明しました。
アメリカが同盟国に対し強い失望を表明するのは極めて異例です。
(一部略)また、ポンペイオ国務長官は22日、訪問先のカナダで会見し、発表後に韓国のカン・ギョンファ(康京和)外相と話したことを明らかにしたうえで「韓国政府の決定に失望している。日本と韓国が対話を続けるよう強く促している」と述べました。」
引用元:NHKニュース(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190823/k10012045221000.html)
韓国とアメリカと日本による連携
アメリカが韓国のGSOMIAの破棄に対し強い遺憾の意を示す理由は、日本を含めた3国の連携の中で東アジアでの軍事作戦を行いたいからと専門家は語っています。
「そもそも、日韓のGSOMIA締結を橋渡ししたのはアメリカだった。
日韓のGSOMIAは単なる二国間の軍事協定ではない。
東アジアで、アメリカを中心に日米韓が共同で中朝に対処しようという、大きな枠組みの中の話でもあるのだ。
(一部略)GSOMIAに基づき、日韓がそれぞれ米軍との共同作戦に必要な秘密指定情報を提供できる体制を作っておけば、米軍は日米間で共有された情報と、韓米間で共有された情報を、垣根なしで共同作戦に使えることになる。
それは、米軍の東アジアでの作戦にとって不可欠の環境だ。」引用元:BUSINESS INSIDER JAPAN(https://www.businessinsider.jp/post-196501)
日米韓の3国から離脱した韓国
アメリカは、日本とも韓国とも軍事同盟を結んでいる状態です。

この3国は日韓のGSOMIAによって三角形を成し、その枠組みの中で得られた情報をアメリカは軍事作戦において自由に使えることになります。
ところが韓国が日本とのGSOMIAを破棄することによってアメリカは機密保持の観点から、日本と共同作戦を行う時は日本から上がってきた情報のみで、作戦立案をせざるを得ない立場になります。
これは韓国との共同作戦の際にも同様であり、アメリカとしては非常に厄介な振る舞いを要求されることになるのです。
アメリカは日米韓の枠組みを支える基礎の一つを「日韓のGSOMIA」と見なしており、それを破棄する決定を下した韓国に対して「離脱」した、との視線を向けているのです。
韓国と北朝鮮や中国・ロシアなどとの今後の関係
韓国によるGSOMIAの破棄は、日米韓の枠組みから韓国が離脱するということであり、それがロシアや中国・北朝鮮など相手側3国にとって外交的な孤立に映るであろうと専門家は指摘しています。
19日にソウルで行われた「韓日ビジョンフォーラム」でパク・ヨンジュン国防大教授は、韓国がGSOMIAを破棄した場合、「米国は韓国が韓日米の安全保障協力から離脱したとの認識を抱きかねない。半面、中国・北朝鮮・ロシアは韓日米安全保障協力体制から韓国を分離させたと判断し、韓国外交の孤立として映るおそれがある」と語っている。
引用元:ヤフーニュース(https://news.yahoo.co.jp/byline/kohyoungki/20190822-00139270/)
北朝鮮ら3国にとって韓国の離脱は付け入る隙であり、今後東アジアや南北の統一に対して有利に展開されると言われています。
日米韓の枠組みから離脱したことにより、北朝鮮ら3国との距離は相対的に縮まったと言える部分もあり、今後の韓国並びに周辺諸国の動向に注目が集まります。
韓国とアメリカを含めた東アジアの今後に注目
現状では主だった影響はないものの、確実に日韓のみならず米韓の信頼を失うことに繋がった韓国によるGSOMIAの破棄と言えます。
その中で北朝鮮や中国・ロシアなどによる活発な動きも予測されており、今後の東アジアの動きにはますます注視していく必要があるでしょう。
今回は、韓国がGSOMIAを破棄したニュースやそれに対するアメリカの反応、また北朝鮮や中国・ロシアなどの国と韓国との関係についてまとめました。
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