リクナビの「内定辞退率予測データ」を購入していた企業が問題になっています。
そして新たにYKKとレオパレス21の2社が購入していたことが判明しました。
この件は特にTwitterで問題視されており炎上状態になっています。
そこで今回は「内定辞退率予測データ」の問題点について様々な角度から見てみることにしました。
「内定辞退率予測データ」の問題点が明らかになれば、今後の影響もはっきりするでしょう。
リクナビ内定辞退率予測データとは?
内定辞退率予測データとは、就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、有償で提供するサービス「リクナビDMPフォロー」のことを指します。
「リクナビDMPフォロー」は就職活動中の学生一人ひとりが、内定を辞退する確率を人工知能(AI)で予測するというものです。
企業側から見れば辞退する確率が高い学生に内定を出すのは無駄ということになります。そのためにデータを利用していたのは明らかでしょう。
リクナビ内定辞退率予測データを報道はどう伝えた?
この件について、報道はどのように伝えているのでしょうか。
リクナビの内定辞退率予測データ、YKKとレオパレスが購入を発表
就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが学生の内定辞退率を予測したデータを38社に販売していた問題で、YKKとレオパレス21は2019年8月16日、同データを購入していたと発表した。自主的にデータの購入をWebサイトで明らかにしたのは2社が初めて。これでデータ購入が判明した企業はホンダやトヨタ自動車などを含む10社となった。
リクルートキャリアの内定辞退率を予測するサービスを巡っては、日経 xTECHが2019年8月9日にホンダが同データを購入していた事実を報じて以降、次々に購入企業が判明している。
引用元:日経 xTECH 2019/08/19 09:30(https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/05743/)
記事によると、YKKとレオパレス21の2社ともに、採用選考にはデータを利用していないとしています。
これはこれまでデータの利用が判明した、東京エレクトロンやNTTコムウェア、NTTファシリティーズ、アフラック生命保険、りそなホールディングス、大和総研ホールディングス、トヨタ自動車などと同じ言い分です。
ただ、実際にどうだったのかは藪の中ということになるでしょう。
リクナビDMPフォローの問題点
「リクナビDMPフォロー」の問題点はいくつもあります。
個人情報保護の問題やデータを選考に利用しないという無理な契約、データを利用していた企業にも問題があるでしょう。
順を追って見ていくことにしましょう。
リクナビ問題を個人情報保護の観点から見ると
「リクナビDMPフォロー」は1社あたり400〜500万円で38社にサービスを提供していました。
しかし2019年7月初旬には、行政機関の個人情報保護委員会から指摘を受けて、2019年8月1日からサービスを一時中止しています。
個人情報保護委員会の指摘した内容は「個人情報の第三者提供に関する規約が就職活動中の学生にとって分かりにくいものになっている」というものでした。
これについては「リクナビ」サイドがわざと分かりにく規約にして、個人情報を第三者に提供していたのではないかと見られています。
つまり個人情報保護法や職業安定法に抵触する恐れがあるということになります。
リクナビ内定辞退率を選考に利用しないという無理筋な契約
「リクナビDMPフォロー」は企業と契約する際、内定辞退率を採用選考には利用しないという条件を付けてはいます。
しかし、外部から内定辞退率を利用したかどうか確認を取ることは、はなはだ困難です。
無理と言っていいでしょう。
つまり単なるエクスキューズに過ぎないということになります。
「リクナビDMPフォロー」を利用する企業にとっては、内定辞退率こそ最も知りたいデータです。
優秀な人材を確保したい企業の人事部が、このデータの誘惑から逃れられるとは思えません。
リクナビ予測データを利用した企業の責任
「リクナビDMPフォロー」は個人情報保護委員会から指摘を受けるような杜撰な状態で個人情報を扱ってきました。
これは同サービスを利用した企業にも道義的責任が問われることになります。
就職は一生を左右します。
就職活動中の学生には当然ながら本命の企業があります。
ただ本命がダメだった場合に備えて、いくつか内定を得ておくのは常識となっています。
内定辞退率を個人が特定できる状態で晒されてしまったら、就職活動そのものが成り立たなくなるでしょう。
「リクナビDMPフォロー」を利用していた企業にも厳しい目が向けられています。
リクナビに対して広がる反発 炎上するTwitter
Twitterではリクナビに対して反発が広がり炎上状態となっています。
例の内定辞退率、弟の勤務先にも売り込みに来たが買わなかったんだそうな。弟(ロースクール卒で法務担当)から、法的に問題がある懸念点をキッチリお伝えしてお断りしたとのこと。身内への手前味噌ながら誠にGJ千万である。 #リクナビ
— あびる (@abix82) 2019年8月18日
リクナビ問題。
職業安定法は労働者募集の際に企業が第三者から個人情報を取得することを禁じている。リクナビは法令意識が低く、就活生や求職者の個人情報を企業へ売って商売しているのではないか。#リクナビ#リクルート— pin5901 (@pin5901) 2019年8月16日
#リクナビ データをホンダが購入! 就活生を選別するような企業は、自身が選別されるのに。
— アンパン (@UT0IXAH23OQNFPQ) 2019年8月10日
昨日厚労省から再ヒアリング。リクナビ辞退予測率の提供は職安法4条6号に定める「募集情報等提供」との説明。条文では学生からの依頼が前提。無断で裏付けのない不利益情報を作成して企業に流布していた責任は重大。一罰百戒。#リクナビ #辞退予測 #大塚耕平 pic.twitter.com/XmQuS0R7TK
— 大塚耕平 (@kouhei1005mon) 2019年8月10日
#リクナビ 内定辞退予測。
Aさんは、B社C社D社から内定になっているから、B社C社D社の皆さまはいつか辞退されますよ
と言うシステム。データを購入した企業は個人を特定する?#就活 を馬鹿にしてる!
対抗策は、
リクナビには、内定出ても知らせない。
無視するようにしましょう❗️— ショウジ ni メアリー (@ni52640159) 2019年8月16日
ハッシュタグまで作られる始末です。
リクナビトラブルから今後に大きな影響
以上、リクナビの内定辞退率予測データ「リクナビDMPフォロー」の問題点について見てきました。
この様なサービスのことを「HRテックビジネス」と言います。
ビッグデータを個人に紐付けしていくわけですが、最も重要なことは紐付けされる個人とサービスを利用する企業、双方にメリットがなければダメと言う事です。
「リクナビDMPフォロー」は企業にメリットはあっても、就職活動中の学生にとってはデメリットしかありません。
HRテックビジネスは今後、拡大していくことが予想されています。
今回の事案は、一方が得をするだけではいけないという警鐘を鳴らしたものと言えます。
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